無法都市と化した人工島を舞台に悪党たちの饗宴が繰り広げられる「越佐大橋」シリーズ、連作短編のようでそうでもないような外伝。
内容的には、ちょっとした事件が起こりつつもおおむね平和(?)な「島」の日常あれこれ、というところでしょうか。まぁ、日常とは言っても成田氏の作品にしてはわりと殺伐とした雰囲気かつ人もさっくり死ぬ話、というのは相変わらずなのですが。狗vs戌の(撃ち合いながらの)ちょっと意外な共演とかリーレイの過去とか、なかなか面白かった。
あと、今回はらぶ増量気味だったのでそういう意味でもニヤニヤできました。八雲とナズナの関係の進展具合とか戌に対する潤の憧れの気持ちとかは勿論美味しくいただきましたが、大穴だったのが麗凰兄さん。がるぐるの時はそんなそぶりなかった(と思う)のに、いつの間にそんなことに!みたいな。この先も周囲に軽くからかわれながら、探偵姉のちょっとした行動に慌てさせられてるといい。……あ、麗凰といえば、今回作中での表記が麗「鳳」になってた気がするんですが。ピンイン的に「凰」が正しいかなーとは思うけど……成田氏といえば誤字がつきものとはいえ、今回ばかりはいくらなんでも校正段階で誰か気がついてもいいんじゃないかな、と思った。
あとがきによれば、第2弾も予定されているようで。次はどんな話になるのか、楽しみなところです。
作品名 : 5656! Knights’ Strange Night
著者名 : 成田良悟
出版社 : 電撃文庫(メディアワークス)
ISBN : 978-4-04-867346-4
発行日 : 2008/11/10