強大な力を持つ吸血鬼と彼によって吸血鬼とされた青年の永遠の相克と、彼らに少なからず関わることになった人々の物語、第4巻にして完結巻。
最終巻にして、ヘンリー×J.C.のカップリングに思いっきりお布団の上でごろごろ転がりました。いや、これまでの話でも普通にお気に入りなカップリングだったけど、まさかまさか、ここまでの破壊力を発揮してくれるとは思ってもいなかったので、予想外の不意打ちにやられました。……とはいえ、冷静に読むと別にらぶらぶ描写が大増量というわけではないのですが。それでもなんというか、お互いへの控えめな信頼や執着、嫉妬めいた感情がものすごくツボにきた。一方、ミカエラとウォルフは……ミカエラの鈍感さに翻弄されるウォルフに、流石に励ましの言葉をかけてあげたくなりました。あの終幕の様子では、彼の想いが通じる日が来るのかと本気で気の毒になってしまったし(笑)
えーと、カップリング話だけで盛り上がるのもあれなので、本編の感想。エリオットとカールの戦いの結末は、意外なようなそうでもなかったような。この二人の結末は、もうこれしかなかったんだろうなぁ……と思いつつ、それでもなんだか切なかったです。あと、ヴァンパイアたちの故郷たる『根の国』や全ての始まりとなった2人、聖女やヘルシング一族の設定などは、最終巻でがーっと出てきた印象も拭いきれませんが、それでもなるほどねーと納得できる感じでした。で、今回やられ役で出てきたヘルシング一族は、なんかもうどうしようもないなあれ、としか言いようがないというか。2巻ではまだしもまともだと思ってたチャールズですらも、あれだったしなぁ……読んでて、本気で呆れてしまいました。
紆余曲折を経てエリオットとカールの戦いは幕を閉じ、舞台に残ったのは彼らの戦いに巻き込まれ思わぬ縁を結んだ4人。彼らがこの先どんな逃亡劇≒世界旅行を繰り広げるのか、その珍道中は想像するだけでも面白そうなので、是非とも読んでみたいのですが、流石に語られることはないだろうなー。ちょっと残念だけど、彼らが楽しく幸せに日々を過ごしてくれることを祈って。