様々な特徴を備えた種族が暮らす世界で、いかなる種族の特徴ももたない「のっぺらぼう」の少女ベルが己の由来を探す旅に出るまでの物語、第4巻にして完結巻。
今回収録部分は、「剣の国」で起きた騒乱あるいは「神」への反逆の決着と、ベルが「旅の者」として旅立つまで。この作品最大のクライマックスが収録されているだけに、見所は山ほど&内容も盛り上がることこの上ない巻でした。とりわけ、シェリーの在り様の変化と、それを経て彼女の歌に繋がっていく流れは、何度読んでも凄まじいまでの迫力と覚悟を感じます。一方、ベルとアドニスの剣戟もいよいよ最終幕に。ここでの一番の名場面はやはり、ベルの一刀であのスペルが別の形を現すところかな。あれは、妙に納得するというか、上手い具合に使うなぁと思いました。
そして、エピローグで描かれるのは、ベルと「剣の国」で彼女と関わった人々との別れと旅立ち。描かれる数々の別れは、ベルと周囲の絆や成されたこと、それぞれがそれぞれの形で自然と思い起こされてくるというか、ちょっとしんみりとした気分になります。そして、しみじみと別れをかみ締めた後に、新たな経験、新たな戦いへの期待を感じさせるところがまたにくいよなーと思ったり思わなかったり。
さて、これにて「剣の国」でのベルの戦いは終幕と相成りました。しかし、この先も「旅の者」となった彼女の戦いは続いていくわけで。キティの念願が叶うのかも気になりますし、またいつか、彼女の新たな戦いを目にすることができれば良いな、と思います。