高校ラクロス日本一を目指す帰国子女の五十嵐千果を筆頭に生まれ変わった聖ヴェリタス女学院ラクロス部こと「ロッソ・テンペスタ」。ラクロスに打ち込む彼女たちの青春の一幕を描いたシリーズ第2巻。1巻に引き続き、個性豊かな面々の繰り広げる掛け合いとテンポの良い展開でさくさく読めて楽しかったです。
今回は、正式な部に昇格するには最低でもあと2人はメンバーが必要で……というところから始まったので、その話で1巻使うのかと思っていたら。メンバー集めは案外とんとん拍子に進み、そこから夏の合宿とさらに秋の公式トーナメント戦まで話が進んだのにちょっと吃驚しました。
作中の人物には「大砲を積んだ筏」とも称されたロッソ・テンペスタですが、実質3ヶ月程度の経験であそこまで実力をつけているのはやっぱり素直に凄いと思います。公式戦で初勝利をもぎとった彼女たちの姿を見たときには、もしかしたらこのまま良いところまで行くんじゃないかと思いましたが……。その後に待ち受けていた数年間連覇を続けている強豪校を相手にした試合は、そんな甘い予想をあっさり吹き飛ばしてくれました。始終厳しい展開の試合で、それでも圧倒的な実力差を乗り越え最後まで相手の喉笛に喰らいつこうとしたロッソ・テンペスタのプレー、試合後の涙や物言わぬ姉妹のやり取りには胸に込み上げてくるものがありました。
この巻で終わってもまぁ問題なさそうなエンディングではありましたが、あとがきによれば作者氏にはこの先の展開についてもいろいろと構想はあるようですし、やっぱり続きが読めると嬉しいなぁと思います。
……ところで、そんなに描写が多いわけでもない女子高ライフに妙に親近感あるいは懐かしさを覚えるのは良いことなのかどうなのか。王子様とか親衛隊とか、あそこまで行かなくても似たようなノリはあったよなぁ、とか。