それぞれの事情から、世界を統べる「ウィザード」のいる都・マギを目指して旅をする白魔女見習いの少女エメラルドと仲間たちの物語、第2巻。
今回は、旅の途中で立ち寄ったスパーニャ王国の若き国王クリスにエメラルドが求婚されることになってしまう、という展開。……もっともこれ、甘々恋愛感情からではなく、エメラルドがウィザードに愛される「宝石」であるがための政治的判断や打算あっての申し出なのですが。つーか、このクリスからの求婚だけに限らず、設定的には逆ハーなのにそんな雰囲気がほとんどない(むしろ登場人物同士の腹の探りあいとかで殺伐としてるぐらい)のがなんというか、不思議なシリーズだよなぁと思います。とはいえ恋愛方面も皆無というわけではなく、微妙にフラグが立ちつつあったりするような気がするので、そちらの展開もこっそり楽しみにしています。
また、1巻に引き続き登場人物同士の掛け合いも普通に楽しかったのですが、今回特に面白いなーと思ったのはウォレスとアルフェッカ、二人のウィザード候補の、エメラルドに対する感情の違い。どちらも彼女に執着しているという点では変わりないわけですが、その表し方はある意味対称的なわけで。マギに辿りついたときに彼らの心境に変化は起きたりするのかどうか(ウォレスはまだともかく、アルフェッカはなさそうかな?)も気になります。
さて、一応マギに辿りつくまでの簡単な経路は示されましたが、すんなり行くはずのないこの旅路、エメラルド一行は次はどんな騒動に巻き込まれるのか。そして、エメラルドを諦める気のないクリス(というかスパーニャ王国)の追っ手、パットはどう出るのか。3巻が楽しみなところです。