『プリンセスハーツ ~両手の花には棘がある、の巻~』[高殿円/小学館ルルル文庫]

 大国パルメニアを征服するという目的のため手を組んだ仮面夫婦と主従の不思議な関係と戦いを描くシリーズ第2巻。今回は愛妾候補としてやってきた伯爵令嬢によって引きこされる騒動とその影で蠢く陰謀の話。

 ……この巻読んで真剣に不思議に思ったのは、一体ルシードはどうやって内乱に勝てたんだろう、ということでした(酷) いや、戦場では有能という風な描写はされていましたが、それにしたって普段が甲斐性なさすぎというかヘタレというかなんというか……。
 それはさておき、内容の感想。とりあえず、互いに相手を意識してるのに(それぞれ互いに想い人がいると思っていることも手伝ってか)自分の気持ちに気がついていないルシードとジルの関係は、お約束だなぁと思いつつニヤニヤ。そして、互いに嫉妬しあってらしくない行動をとり、ジルにいたっては普段明晰な思考にも影響が出てしまった結果、思わぬ危機に陥ってしまう――と、ラブコメ状態からシリアスに繋げていくあたり、やっぱり上手いなーと思いました。ただ、個人的な好みとして、シリアス要素とコメディというかギャグ要素のバランスがいまいちだったような気がしなくもない。

 さて、かなり気になる場面で以下続くとなってしまいましたが、次の巻でこの「愛妾事件」がどんな展開と結末を見せてくれるのか。あれこれ予想しながら、春予定の新刊を待つことにします。

作品名 : プリンセスハーツ ~両手の花には棘がある、の巻~
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著者名 : 高殿円
出版社 : 小学館ルルル文庫(小学館)
ISBN  : 978-4-09-452036-1
発行日 : 2007/12

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