様々な特徴を備えた種族が暮らす世界で、いかなる種族の特徴ももたない「のっぺらぼう」の少女ベルが己の由来を探す旅に出るまでの物語、第3巻。ところで2巻に引き続いて素朴な疑問なんですが、この表紙イラストは一体誰と誰だ。ベルとアドニスか、それとも「nowhere」のスペルが使われているから飢餓同盟繋がりでシアンとドランブイか……?
えーと、今回収録部分は、「剣の国」の民たちがそれぞれの意志と方法で「機械仕掛けの神」の支配に反旗を翻しはじめる、というのが大まかなあらすじになるでしょうか。この世界の背景、というか仕掛けも徐々に見えてきます。
とりあえず、初登場時は純粋無垢で儚い深窓の姫君という印象だったシェリーが、意外な強さを見せてくれるのが素敵です。彼女最大の見せ場が次巻にお預けとなったのがちょっと残念ですが、あれは本当にクライマックスだったからまぁ仕方がないか。
その他、ベルは勿論、新しい枠組みを作るために行動を始めるギネスやベネット、懊悩しながらも王としての責務を果たそうとするガフ、そしてある目的を胸に一定の距離を保ちながらもベルの傍に在ろうとするキティなど、それぞれが格好良い姿を見せてくれる一方、アドニスは……なんというか、この男は良くも悪くもヘタレだよなぁと(酷)
さて、「剣の国」で始まった変革の兆しは「理由の少女」も巻き込んでどのような結末を迎えるのか。剣を持って相対するベルとアドニス、2人の想いと関係はどこに向かうのか。「剣の国」を舞台にした物語は、いよいよ収束へと向かっていきます。