昨年『煌夜祭』で第2回C☆NOVELS大賞の大賞を受賞し、デビューを飾った作者氏の受賞後第1作ということで、期待して購入してみました。
内容を要約すれば、世界各地に散らばっている力ある文字(スペル)を回収している少年アンガスと〈姫〉の冒険譚。それと同時に、天使たちの文明が潰えた「滅日」など世界の謎にも迫っていく、という感じかな。
一読した感想は、長編の1冊目としてはまずまず順当に面白い、という感じ。物語のスタート地点がアンガスと〈姫〉の出会いあるいは旅立ちではなく、彼らが旅に出て既にある程度時間が経過している状態からだったのに一瞬戸惑いましたが、必要な情報は適宜開示されていくので、置いてきぼり感はほとんどなく。逆に、設定が明らかになっていくにつれ、自然と物語に惹きこまれていくのは作者氏の巧さなのかなーと思ったり。あと、どこか開拓期のアメリカを思わせる雰囲気が、作品世界に意外とはまっていて良かったです。
登場人物に関しては、今のところはわりと定型通りの配置だなぁという印象だったりするのですが。それでも芯の強いアンガスと勝気ながら優しさも備えた〈姫〉、彼らにひょんなことから同行することになったジョニーや途中で挿入される過去の物語の主人公「俺」など、それぞれの魅力があったり癖があったりで好印象ではありました。
さて、思いがけない報せに飛び出したアンガスと、「楽園」を脱するも生命の危機は続いている「俺」。2人の物語がこの先どういう展開を見せ、どういう風に繋がっていくのかが気になるところ。あとがきによれば全4巻既に書き終わられているようなので、あまり間を置かずに続刊が読めそうなのが嬉しい限りです。
どうでもいい独り言。いくらメジャーどころの天使の名前がごろごろ出てくるからって、即座に脳内イメージが某コミックやゲームのそれに切り替わる私の脳みそはどうにかならないものか。