最近密かに、ウィングス文庫に並んで個人的好感度という名の株が上昇中だったりするB’s-LOG文庫。この作品もあらすじがいかにも王道モノっぽく、作者の人が普段BL系でもまぁ大丈夫だろうと適当に判断してとりあえず購入してみた。
読んだ感想としては、王道万歳というところでしょうか。伯父だという貴族に引き取られた主人公のリディアは、下町育ちなこともあって(生来の性格も多分にありそうですが)貴族社会になかなか馴染めずにいるものの、その分さっぱり男前というかパワフルというか。多少のことではめげない&過剰な無理はせず今の自分に出来る範囲で行動していくその姿勢が好印象。まぁ、周囲には彼女のそんな努力も異質なモノとして捉えられがちなわけですが。その辺りの食い違いは、周囲にも特に悪意がないだけになんだか居心地が悪くなってしまいましたね。具体的には、形見のペンダントが捨てられたところとか。逆に、女学校で初めて出来た友人や、友人つながりで出会った変り種の貴族の子息たちとのやりとりは素直に楽しかったです。
そんな感じでリディアと周囲の交流や変化を楽しむ話かと思いきや、中盤以降は思いがけず国家に叛意を抱く連中の陰謀が絡んでくることに。建国神話にまで因縁が遡りそうな反体制派。リディアの持つ力とペンダント。それらにどのような意味・事情があるのか気になるところ。
終幕は、当初はそりが合わないと感じていた従兄たちともそれなりの関係を築けていけそうな雰囲気でなんとなく和んだ気分になりました。次巻以降、今回は反発しあったままだった従姉や視界にも入れてなさそうな公爵夫人との関係にも変化があるといいな、と思います。……ところで、主人公のお相手はやっぱり上の従兄になるのでしょうか?