諸々の要因から東西に分割されてしまった近未来の日本を舞台に、波乱の人生を歩むことになる少女・黎良の物語、第2巻。
黎良の心情は作中で触れられているとはいえ、それでももっと早い段階で別の選択が出来なかったんだろうか、とどんどん深みに入っていく姿を見ていると思ってしまいました。出来ないからこそ、だとは勿論分かってはいるのですが。
それにしても、まだこの段階では覚悟が甘かったとしか表現のしようがない黎良に対して、彼女が失ってしまったものを思い知らされるあの場面はなんともいえない心境に。彼女たちの心境も、黎良の行動が弁護出来るものではないと理解しているだけに、ねぇ……。1巻での描写からすると、壊れてしまった関係もこのままで終わらず何がしかの変化があるのだろうと思いますが、はてさて。
実父との再会を経て本格的に戻れない道に踏み込んだ黎良。この先も彼女は変わっていく、あるいは変わらざるを得ないのでしょうが、その変化は果たして歓迎できるものなのか。続きが楽しみなような、不安なような。
作品名 : エパタイ・ユカラ 愚者の闇
著者名 : 高丘しずる
出版社 : ビーズログ文庫(エンターブレイン)
ISBN : 978-4-7577-3586-6
発行日 : 2007/6