2年前完結したキャンバス文庫の看板シリーズ、ルルル文庫に移動して新章開始というかシリーズ再開というか。ちなみに、このシリーズは読もうかと思ったとき既に結構な冊数が発売されていたため尻込みしてしまい、新書版で発売された選集3冊は読んだものの文庫版には手をつけないままになっていたり……。
感想。とりあえず、諸事情から周囲に壁を作っている高飛車美少女が不思議と人好きのするニート青年と恋に落ちる話という理解でよろしいでしょうか(殴) え、だってわざわざ地の文で「これほど最低最悪の出会いもなかった」と書かれてるってことは、これから互いの印象がひっくり返るってことですよね?(聞くな) まぁとにかくこの二人については、最後になってようやく顔を合わせたという段階なので、次巻以降の展開に期待。
……えーと、趣味に走りまくった戯言はさておいて。内容は、昭和初頭の東京で発生した奇妙な人食い事件と時をほぼ同じく、陰陽師・神島一族の京都本邸に不遜な挑戦状を叩きつけてきた新興宗教団体。若干14才ながら神島の当主を務める桐子は、自らの手で事態を収拾するべく使役鬼2人を伴い東京を訪れたのだが――という感じで、真っ当な伝奇小説。必要な部分は適宜説明が入っているので、これまでのシリーズを読んでいなくても多分大丈夫だろうと思いますが、選集2巻はおさえておくと良いかも。
傲慢にも思える桐子の振舞いですが、そう振舞わざるを得ない事情や彼女の心の傷の深さはこの巻で語られる情報からでも十分察せられるだけに、その凛とした立ち姿に惚れ惚れする一方でなんだか複雑な心境になってしまいます。それだけに、(主に聖との喧嘩の最中)時折覗かせる歳相応な表情に和んだり。あと、桐子の方針を巡っての宇和野氏とのやりとりも良かったです。格好良い小父様は大好き。
一方、ひょんな縁から聖と知り合った青年・志郎。現世と異界を行き来する特異な能力を持つ彼、今回は周囲につつかれつつもまだ部外者的な位置にいましたが、このまま桐子たちと行動を共にすることになるのか。次巻での動きが気になるところ。母親がアレ(作中では全く隠されていませんが、一応伏せる)ということも、なにか意味があるのでしょうか(同系統といえば同系統ですよね) それにしても、聖は相変わらずマイペースというかなんというか……本当、良いキャラしてると思います。
なんとも続きが気になる引きなので、出来るだけ早く続刊が出ればいいなーと思います。