角川書店の『ザ・スニーカー』と富士見書房の『ドラゴンマガジン』の2誌でそれぞれ別の物語が連載されているという、変則的な冲方氏の新シリーズ。『ザ・スニーカー』連載分は、ミリオポリスの公安局に所属する要撃小隊(MSS)の物語。
……小隊3人のテンションというか口癖というかでカトル・カール@ヴェロシティを連想してしまい、その後ネットでウロウロ感想を見てみたら同様の人が何人かいたことになんとなく安心した今日この頃。
それはさておき、「スプライト」。小隊のメンバー3人――鳳(アゲハ)、乙(ツバメ)、雛(ヒビナ)の3名は「オイレン」3名と同じくそれぞれ重い過去を背負っているけど、あちらよりそれに囚われている描写がなかったためかそのあたりはあっさり流せたのですが(いや、流しちゃいけないんだろうけど) しかし周囲との関係や政治的な思惑などはこちらの方がより書き込まれていた感じで、この世界の現状にどうしようもない思いを抱いてしまいました。特に、第5話・第6話の「シティ・オブ・フェアリーテール」が悲痛な話で……。その辺りの悲惨さを含め、現時点では「オイレン」よりも「スプライト」のほうがやや最前線にいる、という印象でした。
まだ二つの小隊は直接絡んできませんが、この先「トラクルおじさん」やプリンチップ社との戦いが続いていけば接点も出来てくるのでしょうか。先が楽しみです。
余談。「スプライト」にちょい役で登場したMPBの副長。この場面だけ見てると普通に格好良いのになーと、「オイレン」での遊ばれぶりを思い出してなんとなく哀れみをこめた視線で眺めてしまった。