お伽噺や童話をモチーフにした現代あやかし譚、第4巻。これで完結となる今巻、収録作は雑誌掲載分の「硝子の絆」(モチーフはシンデレラ)、そして書き下ろし「玄武の策略」(モチーフは桃太郎)の2作品。
普通なら触れもしないはずの結晶を、どのような手段でか人間の女性が凍雨から奪っていったのが発端となり大騒動が起こる「硝子の絆」。この元凶となった祥子という女性、やることなすこと黄龍や凍雨の逆鱗に触れる始末で。つーか、「鳥神の呪い」(2巻収録)のかぐや(仮名)も大概アレな性格だと思ってたけど、それに輪をかけてアレなんだものなぁ……。とばっちりで義妹・花籠が残した唯一の形見である結晶を狙われた黄龍は気の毒としか言いようが……花籠としてはようやく想いを告げることが出来て僥倖だったかもしれませんけど。ともあれ、祥子がそんな性格の女性なので、最後に相応の報いを受けても同情の余地はあまりなかったというのが正直なところではありますが、あのあと彼女が一体どんな生活を送ることになるのかちょっとは気になるところ。あと、黄龍と凍雨の友人?関係も見所だったかも。実際、1巻当初からしたらかなり仲良くなってるよなこの二人……って、指摘したら黄龍は死ぬほど嫌がりそうですが。
一方、題名からも明らかなように玄武絡みの書き下ろしは、前の話と違ってなんかこう、明るいというか気が抜けるというか。玄武の頼みごとの馬鹿馬鹿しさもさることながら、黄龍の敬老精神(グランドファザコンともいう気がする)には悪いと思いつつ笑ってしまいました。それにしても、本人無自覚ながら力の引き出し方が上手くなってる様子なのはさすがというべきか。
……えーと、こうして改めて書き出してみると、収録作品2作品ともいつも以上に黄龍が散々な目に遭ってたのは気のせいでしょうか(笑)
全4巻、なかなか楽しいシリーズでした。満足。