ペルシャ方面をモデルにした架空の大陸で繰り広げられる歴史絵巻、「アルスラーン戦記」第12巻。「すごい、2年連続刊行だっ!」と一瞬大喜びしたあと、なんだかひどく哀しい気分になった今日この頃。
以降の巻への前振りという印象の強かった11巻に対して、この巻ではその伏線があちこちで動き出したといったところ。まぁ、どれほど凄惨な戦いになるのかと思っていたペシャワール戦が意外と呆気なかったのが拍子抜けではありましたが。一方、ミスルでは急転直下というか棚からぼた餅な事件により遂にヒルメスが権力を掌握。蛇王対策に追われるパルスに対して彼がどのような行動に出るのか、楽しみ。そういえば、久々に登場のタハミーネは境遇だけを見れば普通に気の毒なんだけど、やっぱり態度がアレすぎて同情はしかねる……いつか願いが叶えば、少しは心に余裕が出来てアルスラーンへの態度も変わる、と思いたいのですけどねぇ。
それにしても、順調に主要登場人物に死亡フラグが成立していってるのは多分気のせい……ではないんだろうなぁ。つーか、主人公のアルスラーンですらかなりヤバそうというのはどうしたもの。
第二部は確かあと2~3巻の予定だったかと思いますが、その間に果たして「皆殺しの田中」の本領がどの程度発揮されるのか。かなりどきどきします。
作品名 : アルスラーン戦記12 暗黒神殿
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著者名 : 田中芳樹
出版社 : 光文社カッパ・ノベルス(光文社)
ISBN : 978-4-334-07644-03
発行日 : 2006/12/7