唐代、玄宗皇帝の御世。官吏として財を成した父に寄りかかり、安逸を貪っていた青年・王弁は、ひょんなことから地元の里山に住む仙人・僕僕(見た目は可憐な少女)に弟子入りし、さらには彼女と共に旅に出ることに。
第18回日本ファンタジーノベル大賞、大賞受賞作。この賞は基本的にチェックすることにしてるので、今回も購入。
感想。設定からはもっと破天荒な話を想像していたので、意外な地味さに逆に吃驚しました。つーか、改めて思い返すと皇帝にお目通りしたり(ネタバレにつき自粛)に飲み込まれたりそれなりに大変な目にもあってるはずなのに、話そのものはあまり印象に残ってないぐらいなのですが。なんというか、皮肉屋の僕僕と「ニート青年」王弁の掛け合いがなんだかんだで面白く、上手い具合にそのキャラに乗せられるまま一息で読んでしまったという感じですね。
良くも悪くも、中華モノのわりに堅苦しさがなく、気楽に楽しめる読み易い話ではありました。が、昨年の「ゴメス」もそうでしたが過去のファンノベ大賞受賞作と比べると今一歩及ばないというか。随分普通な作品が受賞したなぁと思ってしまいます。それはそれで悪くない(というか、売上を考えると新潮社的にはそちらの方がいいのでしょうけど)と思いますが、後宮やら信長やら沖縄やら、ああいう変な作品もまた出てきて欲しいなぁ(しみじみ)
まぁ、普通に楽しめたので次回作に期待……って、12月には学研で受賞した作品が発売されるようで。まぁ、とりあえず買ってみようと思います。