宝珠を体内に取り込むことで、体に刻印される「宝印」。持ち主に様々な力を与える神秘の力だが、その力を得るための学院は特権階級など限られたものにしか門が開かれていない。誰にも頼らず生きてきたスラム出身の孤児・ノイルは、貴族の庶子であることを利用して宝印学校に通い、宝印を得ようと必死で勉強してきたが、あろうことか卒業試験で落第を言い渡されてしまう。校長から救済策として、同じく落第した下流貴族の少年・ウィリップと共に追試を言い渡されるが、ウィリップは追試以上に気になることがあるようで……。
地味に良作を売り出すレーベルという印象なウィングス文庫ですが、この新人さんの作品も例に漏れず。地味ですが、普通に面白かったです。
主な登場人物は、ノイルとウィリップ、そして大貴族の子息でノイルとは従兄弟になるティフィールの3人。ノイルとティフィールは犬猿の仲でこの二人だけだと会話がなくても非常に刺々しい感じなのが伝わってくるのですが、そこに天然気味なウィリップが混ざるとあら不思議。たちまちペースが乱され、それなりに仲良く(?)やっていってるような気がしなくもないのがなんとも微笑ましいです。皆で一緒にランチはまだ当分無理そうですが、それでもそう遠くないうちに実現しそうだし。
コンビ未満の少年たちの成長も楽しみなことですし、また続きが読めると良いなーと思います。