吸血鬼と人間の共存地帯『特区』を舞台にした吸血鬼と人間たちの物語、「BBB」シリーズ長編第6巻。
ミミコがカンパニーをクビになってから半年後。フリーの調停屋となった彼女は、望月兄弟と共に苦労しつつも充実した日々を過ごしていた。しかし、その平穏も時代の移り変わりの前に脆くも崩れ去っていく、とそんな展開。笑える場面もあるんですが、それでも随分シリアスになってきた印象です。
中でも衝撃だったのは、やはりコタロウが覚醒し始めていることでしたかね。1巻の頃からいつかはそうなることが予告されていたとはいえ、それでも実際にその時が迫ってみると……。ジローもミミコも、勿論コタロウもそれぞれ魅力があって個別でも好きなのですが、やっぱりこの3人は3人揃ってこそという認識がいつの間にか出来上がってしまってますからねぇ。今回はミミコの嘆願を受け入れる形で「賢者」が猶予を与えてくれましたが、最終的な運命までは変わらないだろうし。その時に、ミミコとジローがそれぞれの想いにどのような結論を導いているのか……それが楽しみなことも確かです。
それから、「九牙集結」のサブタイトルが示すとおり、『九龍の血統』の兄弟姉妹全員そろい踏み。全体的には仲良さそうで何よりってところですか(笑) それにしても、最後に正体が明らかになった一人はさすがに意表をつかれました。まさか、そのパターンがあるとは思ってなかったものなぁ……。
果たしてこのまま、『九龍の血統』の宿願である九龍王の復活が成されるのか。特区の住人たちは今回の事態にどのように対処していくのか。そして、セイやジローとの戦いを経て少しだけ虚無から脱したゼルマンの行動、今回新たに仄めかされた謎。どれもこれも気になるのが現状で、次巻がとても待ち遠しいです。
……それにしても、こんな場面で切るなんてあなたは鬼ですかあざのさん!(←読了後の素直な悲鳴)