文藝春秋で連載中の宮城谷版三国志、単行本第2期発売開始。せっかく買ったので、需要を気にせず簡単な感想。
第4巻は孫堅の横死から曹操の天子奉戴直前辺りまで。さすがにこの辺りになると、連載開始初期のように「……これ誰? つーか、そもそもいつから話スタートしてるんですか宮城谷先生」と思うことももはやなし。そのため、ほとんど無知に近い時代のあれこれを学びながら楽しむという読み方は出来なくなりましたが、故事成語を交えての進行や知ってるつもりで意外と知らない群雄たちの側面を掘り下げて書かれていたりと、やっぱり勉強になる三国志ではあります。
また、正史ベースなので演義系だと影の薄い人物が魅力的な人物になっていることも(今回の話の範囲だと張超とか楊奉とか。先の巻からも入れるなら鮑信とかも) しかし、魅力的になったからこそその最期や凋落振りが哀しくなってしまうというパターンもありますが……。皇甫嵩と朱儁は黄巾時の英傑ぶりは何処へ、といった感じだったしなぁ。
他、有名どころの描写も一味違っていたりするのが地味に楽しい。特に、裏切り者の代名詞ともいえる呂布を、ある意味で忠義の士として描いているのが新鮮でした。ああそれから、賈クの描写が割と個人的イメージに近いのがなんとなく嬉しかったり。
さて、次巻はどこまで進むのか。具体的には対袁家戦がどこまで進むのかが気になるところです。