十八諸島の世界を巡り、様々な逸話や伝説を伝え歩く、語り部たち。彼らは冬至の夜、島主の館に集い、夜を通じて話をする。それが煌夜祭、年に一度の語り部の祭。廃墟となったある島主の館で出会った二人の語り部は互いに語り出し、二人だけの煌夜祭が始まる。語られるのは、夜空を焦がす煌夜祭の炎壇でも照らすことのできない、真の闇に隠れた魔物の物語――。
第2回C☆NOVELS大賞・大賞受賞作。あらすじ読んでなかなか面白そうだったので、購入してみた。
どんなに注意してもネタバレになりそうなので詳細な感想は避けるとして、一読しての感想は巧いなぁ、の一言に尽きるかと。ちょっと伏線というか人間関係が分かりづらい面もありましたが、語られる物語はどれもが単体で切なく良い話だし、さらにそれらが繋がって導き出されるラストへの流れがまた見事。終盤の、仮面を外した二人の語り部の会話が大好きです。
ちなみに、語られた物語の中で群を抜いて気に入ったのは、エンとクォルンの物語。これに関してはもう、主従愛が切なすぎでしたよ……。あとは「ニセカワセミ」と「かしこいリィナ」が同率二位かな。
あとがきによれば、既に2作目も準備されているようで。今度はどんな物語が読めるのか、楽しみ。
作品名 : 煌夜祭
【 amazon , BOOKWALKER 】
著者名 : 多崎礼
出版社 : C☆NOVELS FANTASIA → 中公文庫(中央公論新社)
ISBN : 978-4-12-500948-3 → 978-4-12-205795-1
発行日 : 2006/7 → 2013/5/23(文庫化)