「パラケルススの娘」第4巻。今回は前回の話で仄めかされていた遼太郎の祖母・多華女とクリスティーナの過去を扱った外伝です。
端的にまとめると、遼太郎とはまた違った苦悩を秘めていた多華女嬢が、クリスティーナとの出会いと共闘を経て自分で道を選んで歩き出すと、そんな感じの内容。一連の事件が解決した後、これまで自分を軽く見ていた各分家当主たちを圧倒するほどの威厳を身にまとった多華女の姿は凛として美しいものでしたが、それでも、その前後の描写も手伝ってどこか痛々しくて、なんともやりきれない気持ちになってしまいましたね……。睦月は睦月で、選んだ方法はともかくその想いは本物だと痛いほど分かるわけで……ああもう、切ない上に悲しい主従だなぁ(涙) ゲストの忍と七十郎は思いのほか良いキャラで結構お気に入り。忍は、本編でも何とか登場できるんじゃないかなーと思いますが、無理かなぁ。あとついでに、クリスティーナとレギーネですが、この二人はいつでもどこでも変わってませんでした(笑)
そして、時間を戻したエピローグでは、今後確実に波乱を引き起こすのだろう事態が。あとがきで「そろそろ話も中盤にさしかかって(中略)大ネタも振れる時期となってきました」と書かれていますが、確かに今後の展開が気になります。今回告げられた先見の言葉もまた、意味深でしたしねぇ。
作品名 : パラケルススの娘 4 緋袴の巫女
【 amazon , BOOKWALKER 】
著者名 : 五代ゆう
出版社 : MF文庫J(メディアファクトリー)
ISBN : 978-4-8401-1554-4
発行日 : 2006/6