おいおいおいっ!?

密かにトンデモぶりを楽しんでる某伝奇小説家が、これまた正気の沙汰とは思えない作品を発売しますよ。うわーあらすじ読んだだけでなんか笑いがこみ上げ……もとい、(いろんな意味で)面白そうだと期待を掻きたてられます。近所の図書館、早く入荷してくれないかなぁ(←つーか、そこまで言うなら買えよ)

……やっちゃった……。

今日は休みだったので、録画していた「からくり事件帖」を見ようといそいそTVの前に座ったのですが。最終回録画失敗してて相当凹みました。リアルタイム視聴時もなにかで見れなかったし、今度こそはと思っていたのですけど。最後が結構改変されてるらしいと聞いて気になってるんだけど……ああもう私の馬鹿orz

今度は直木賞ですってよ。

お気に入り作家の一人、宇月原晴明氏の『安徳天皇漂海記』。先日の山本賞受賞に引き続き、今度は直木賞候補に選ばれましたよ。……な、何の冗談ですかこれ(←ファンのクセに失礼な言い草だなおい) 確かに、これまでの伝奇戦国モノと比べれば一般受けしそうな作品だとは思ったけど、ここまでですか。えーと、まぁなんにしろ知名度が上がってより好き勝手にあれこれ面白い作品を書いてくれれば嬉しいなーと。

……ところで、実際のところ宇月原氏が受賞する確率ってどんなものでしょう。他の候補も伊坂幸太郎、古処誠二、貫井徳郎、三浦しをん、森絵都と、誰も彼も実力派だしなぁ。これまでの法則でいえば、伊坂氏の受賞確率がやや高いか?

『蒼狼の風(前編) ~草嵐の章~ / (後編) ~天翔の章~』[香村日南/小学館パレット文庫]

 レーベルに多大な不安を感じつつも、やはりタイトルの魅力に抗えず購入した作品。だって、「蒼狼」とくればどうしてもモンゴルを連想しますし、自分が好きだったり興味があったりする時代を扱われていれば、やはり歴史オタクとしては手を出したくなってしまうのですよ。うん。ついでに書いておくとこの作者さん、これまでは古代日本史をネタにした作品を書かれてる方ですね。

 さて肝心の中身は、といいますと。タイトルからモンゴル・ウルス建国期か、バトゥのヨーロッパ遠征あるいはフレグ西征あたりの話だろうと予想していたのですが、予想を大きく裏切って、呼韓邪単于とシツ支単于の対立という匈奴の分裂期を題材にした作品。……マイナーだ……。あ、ちなみに、BLではありませんでした。
 話の中心にいるのは3人の若者。天神の巫女姫・阿沙那(アシャナ)と、彼女の許婚で呼韓邪単于の跡取りである迦連都特(カレントトク)、そしてカレンとはいとこ関係になる波留且テイ(ハルショテイ)。共に草原の平和を望む彼らですが、そんな思いもむなしく漢の謀略や周囲の思惑など様々な要因によって歩む道は次第に分かれていき――。大きな流れに呑まれ、あるいは抗おうとしつつ辿った日々の軌跡は、時に悲嘆に満ちたものではありましたが、それでも最後に西へと向かった彼らの姿は敗残の兵ながらも希望に溢れていて、眩しく鮮やかな印象を残してくれます。それにしても、作者自身後編のあとがきで書いておられますが、カレンが本気で気の毒な役回り過ぎるんですがこれ。読んでて不憫で仕方がない……とか言いつつ、三角関係の描写が足りない!と思ったりもする私(鬼)

 まぁ正直、「この辺りもう少し詳しい描写が欲しいなー」と思うところも多々ありましたが、それでも全体的にはなかなか満足な作品でした。次回作はどんな作品になるのか。歴史ものならどの時代を扱うのか。いろいろ楽しみにしつつ、気長に待ちたいと思います。

作品名 : 蒼狼の風(後編) ~天翔の章~
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著者名 : 香村日南
出版社 : 小学館パレット文庫(小学館)
ISBN  : 978-4094213058
発行日 : 2006/6